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マイクロコージェネレーションの紹介

導入事例のご紹介

万一に備えマイクロコージェネ導入 停電時の病院機能維持を実現

宮口雅樹事務長 医療法人竜門堂が運営する大野病院(下村恭子院長)はこのほど、病院では九州初となる停電時対応のマイクロコージェネレーションシステム(ヤンマー製出力35kW×2基)を導入した。
地震や台風などの災害で停電時にも病院の機能を最低限維持できるようにするのが狙い。排熱を風呂や厨房などの熱源として有効利用することで、ランニングコストの低減も図っている。分散型で災害に強いエネルギーであるLPガス利用のコージェネは、病院や老健施設などが万一の事態に備え高い関心を寄せている。
「停電は病院の機能を失わせる致命的要因となる。東日本大震災で改めてそのことが分かった。地震に限らない。台風による水害もある。万一に備えた電源確保は重要課題だった」
大野病院の事務長、宮口雅樹さんは自家発電設備を導入した理由をこう語る。実際に台風による水害で敷地の一部が水没した経験もある。
「平成7年頃にコージェネの導入を検討したことがある。燃料は当時安価だった重油を想定していたが、具体化には至らなかった。しかし今度の大震災による医療機関の被災状況を見て、対応を急がなければならないと考えた」

高いエネルギー効率、電気料金削減効果も

医療法人竜門堂は、大野病院のほかに診療所として毛利医院、竜門堂医院と複数の介護サービス事業所を抱え(いずれも市内)、患者の病状に応じて適切な医療介護を提供している。大野病院は要介護状態にある患者を診る施設で、病床数193床、ショートステイ8床を備える。生命を維持するためのさまざまな医療機器が稼働しており、停電で医療機器が止まれば、患者の生命にかかわる重大事象に発展する。
ガス会社に万一に備えた自家発電装置について相談し、ニーズに合致する最適なコージェネシステムの提案を受けた。
それまで大野病院は九州電力から全使用電力を購入していた。マイクロコージェネ導入前のデマンドは毎時200kWを超過し、基本料金は43万円を超えていた(1kW当たり単価1,953円)。
提案があったのは、定格出力35kW×2基のマイクロコージェネ(型式CP35VCZ-TP)を核に、熱交換器(伝熱面積2.85m2)、貯湯タンク(容量3t)で構成するシステム。990kgのバルク供給設備も設置した。マイクロコージェネ2台連結時で70kWの定格出力を持ち、2台稼働時には外部購入電力が減少し、基本料金を大幅にカットできる。
マイクロコージェネは発電だけでなく、排熱を回収してお湯をつくることができるので、エネルギー効率が高い。熱回収量は1台で毎時185.3MJ、総合効率85.0%という高効率を達成している。85℃のお湯を1分当たり150ℓ供給する能力があり、それを貯湯槽に蓄えて主に病院内の厨房や一般浴室、特別浴室の給湯用として使用する。

常時監視で万全のメンテナンス体制

地下に設置されたマイクロコージェネ 設備は病院の地下室に設置。平成23年12月20日から稼働した。ひと月程度の試運転を経て本格稼動に入った。2月のLPガス使用量は約2,000m3だった。
宮口さんは、「懸案だった停電時の機能維持がかなってひと安心している。ただこの1、2月はトータルエネルギーコストが思ったほど下がらなかった。例年より寒い日が多く、エアコン使用量が増えたのではないかと思っている。システムの使用状況は遠隔操作で把握している。排熱でできたお湯も有効に活用していきたい。」と語る。
メンテナンス体制は万全を期している。ヤンマーで常時監視しており、不具合が発生すればヤンマーとガス会社が現場に急行する。
東日本大震災と福島第1原発事故の影響を病院や老健施設は重大にとらえており、マイクロコージェネのニーズは拡大している。LPガス業界の活発な提案活動が待たれている。

※「プロパン・ブタンニュース」(平成24年3月26日付)掲載記事を再編集した。

施設概要

医療法人竜門堂 大野病院
設立:昭和55年5月
院長:下村恭子
診療科目:内科・リハビリテーション科
所在地:佐賀県武雄市山内町大野6351-1
TEL:0954-45-2233