災害に強いLPガスの更なる供給体制強化に向けて
LPガスは「災害に強いエネルギー」として、過去の災害において大きな役割を果たしてきました。平成23年3月に発生した東日本大震災でも、津波や地震により被災地のLPガス供給基地も大きな被害を受けましたが、関係者による懸命の努力により、LPガスの供給に大きな支障を生じることはありませんでした。しかし、過去に例のない大規模災害への対応という点では、いくつかの課題を残しました。
これを踏まえ、政府は平成24年3月、「東日本大震災を踏まえた今後のLPガス安定供給の在り方に関する調査」を取りまとめました。この報告書には「LPガスサプライチェーンにおける災害対応能力強化」対策として、中核充填所の選定と機能強化、一次・二次基地の出荷機能強化、国家備蓄の機動的放出の検討等が盛り込まれました。業界では、国の支援を受けながらこれらへの対応を図ると共に、さらに強靭なLPガス供給体制の構築に向けて、日々努力を続けています。
LPガスの供給拠点
LPガスの供給拠点には、輸入基地(一次基地)、二次基地、充填所がありますが、それらを所有している主要な輸入事業者と販売事業者には、石油備蓄法によって「供給連携計画」の策定が義務付けられています。供給連携計画は、全国9ブロックの地域単位で作成されており、災害時には計画に基づいて各事業者間で情報共有、設備の共同利用、輸送に係る協力を行うことにより、供給の途絶を防止し、被災地及び避難所等へのLPガス供給が迅速かつ確実に実施できるようになっています。
国家備蓄基地
石油備蓄法に基づき、国が管理するLPガス備蓄基地。全国5か所(神栖、七尾、倉敷、波方、福島)にあり、約150万トン(輸入量の約50日分)のLPガスを備蓄することができる。平成24年11月の法改正により、海外からの供給途絶時に加え、災害時にもLPガスを放出することが可能になった。
国家備蓄基地
輸入基地(一次基地)
海外から輸入されたLPガスの受入、貯蔵、出荷を行う基地。全国35か所にあり、約150万トンの民間備蓄を常時保有している。出荷機能の強化として、移動式電源車(4基地)、専用受電設備(7基地)を設置し、停電時でもLPガスの出荷が可能になっている。
二次基地
輸入基地から充てん所や産業用大口ユーザーに供給するための中継基地。全国約50か所あり、内航船によって輸送された大量のLPガスを一時的に貯蔵し、出荷する。輸入基地と同じように、北海道内の二次基地には移動式電源車が設置されている。
二次基地
充填所
LPガスを容器に充填する設備を有する基地。全国約2,200か所にあり、そのうち約340か所が中核充填所に指定されている。中核充填所には、災害時にも自立的に稼働できるようにするため、非常用発電設備、緊急用通信設備、LPG車等が配備されている。
中核充填所
非常用発電機
LPG車用ディスペンサー