エネルギー政策の変化

日本の環境政策について

ここ数年の資源・エネルギーを取り巻く大きな環境変化を踏まえ、今般、環境政策にも全面的な見直しが行われました。現在日本では、国を挙げて省エネルギー・CO2対策に乗り出しています。

エネルギー基本計画 第7次エネルギー基本計画(2025年2月)閣議決定

エネルギー基本計画は、2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法に基づき、政府が策定するもので、「安全性」「安定供給」「経済効率性の向上」「環境への適合」というエネルギー政策の基本方針に則り、エネルギー政策の基本的な方向性を示すものです。

2021年10月に第6次エネルギー基本計画を策定して以降、我が国を取り巻くエネルギー情勢は大きく変化しました。こうした状況の変化も踏まえつつ、政府が新たに策定した 2040年度温室効果ガス73%削減目標と整合的な形で、「エネルギー基本計画」を策定しています。

Ⅴ.2040年に向けた政策の方向性
5.化石資源の確保/供給体制

(4)LPガスとして以下の記述があります。

(4)LPガス(P58 抜粋)

LPガスは、化石燃料の中で温室効果ガス排出が少なく、約4割の家庭に供給され、備蓄体制も整備されており、可搬かつ貯蔵が容易で品質劣化のない分散型エネルギーである。国内需要の8割を占める輸入先は米国、カナダ、豪州で9割超と地政学リスクが低く、エネルギー安全保障にも資するうえ、ボンベで全国のどこへでも供給可能であり、災害時には、病院等の電源や避難所等の生活環境向上にも資する「最後の砦」としても、重要なエネルギー源である。LPガス備蓄については、有事の対応やアジアの需要増加に備え、現在の国家備蓄・民間備蓄を合わせた備蓄水準を維持する。LPガス業界やJOGMECと連携し、緊急時を想定した国家備蓄基地からの放出訓練や各地への輸送に係る詳細なシミュレーションを実施する。また、災害時に備え、自家発電設備等を備えた中核充填所の新設・設備強化を進めるとともに、病院・福祉施設や小中学校体育館等の避難所等にお ける備蓄強化、発電機やGHP等の併設による生活環境向上を促進する。「災害時石油ガス供給連携計画」を不断に見直し、同計画に基づいた訓練を実施するほか、スマートメーターの導入による配送合理化等の取組を後押しし、人手不足な中でも安定供給可能な体制を強化する。なお、LPガスを巡る商慣行を是正し、消費者からの信頼を確保すべく、過大な営業行為の制限等を内容とする新たな規律を設けたところ、その実効性確保のため、関係省庁とも連携し、違反行為の取り締まりや市場監視・モニタリングを継続実施する。

Ⅴ.2040年に向けた政策の方向性
4.次世代エネルギーの確保/供給体制

(4)合成メタン等

① 合成メタン

② グリーンLPガス(P51~52 抜粋)

グリーンLPガスは、バイオLPガスや合成LPガス等、化石燃料によらないLPガスの総称である。現状ではバイオディーゼルとともに副生されるバイオLPガスが主流であるが、バイオディーゼルとバイオLPガスの生産比率は10:1と、その大量生産が課題であり、世界的にみても、その生産に特化した先進技術は確立されていない。今後、世界のLPガス需要は、燃料転換が進む中国、インドが牽引する形で拡大していく見込みであり、グリーンLPガスの大量生産技術の確立が重要である。グリーンLPガスの大量生産に向けて、革新的触媒等の技術開発や生産プロセス実証を進め、2030年代の社会実装を目指す。その際、官民検討会等の場を活用しながら、内外のプレイヤーの連携の下、海外市場も視野に入れた生産・流通網を含むビジネスモデルの構築など、必要な取組を進める。また、LPガスのカーボンニュートラル対応を推進すべく、カーボンクレジットの利用拡大や、rDME(バイオ由来のジメチルエーテル)を混入した低炭素LPガスの導入に向けた取組等を後押しする。

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省エネ法の改正

省エネ法は、日本の省エネルギー政策の根幹であり、産業・業務・家庭・運輸の各部門におけるエネルギー効率向上を求めています。平成25年通常国会において省エネ法の改正案が成立し、その中で「電気の需要の平準化の推進」が追加されました。

電気の需要の平準化」・・・電気の需要量の季節又は時間帯による変動を縮小させること

省エネ法の改正

電気需要平準化評価原単位の策定

電気需要平準化時間帯(夏季・冬季の昼間)における電気使用量を削減した場合、これ以外の時間帯における削減よりも原単位の改善率への寄与が大きくなるよう、電気需要平準化時間帯の電気使用量を1.3倍して算出する制度です。これにより、GHPやガスコジェネレーションの導入によるピーク時の電力使用量削減を促進します。

■LPガスを使用した平準化の事例(GHP導入のイメージ)
出典:資源エネルギー庁「省エネ法の改正について」平成26年4月1日を基に作成

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2020年10月)

経済産業省は、関係省庁と連携し、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
そこではカーボンリサイクル燃料としてグリーンLPガスが以下のように示されました。

カーボンリサイクル
グリーンLPG

<現状と課題>

LPガスは全世帯の約4割の家庭に供給される、国民生活を支える必要不可欠なエネルギーである。また、工業用・化学原料用等、多岐にわたる分野を支えており、2050年時点においても約6割の需要が維持される見込みである。
カーボンニュートラルに向けて、化石燃料であるLPガスを海外から調達する業界構造から、バイオマス等から(化石燃料由来ではない)グリーンLPガスを合成する技術を確立することにより、グリーンLPガス製造業の創出を図ることで、カーボンニュートラルに貢献する業態へ転換する必要がある。
現状では、水素と一酸化炭素等による人工合成やバイオマス等によるグリーンなLPガス合成技術が想定されるが、将来的に、LPガスを直接合成するためには、耐久性の高い触媒等の開発・実証が不可欠。
本技術の商用化により、これまでの業界構造が変化し、従来LPガス産業と関わりがなかった様々なプレイヤーの参入により、コスト低減が図られることが期待される。なお、欧州においては、バイオディーゼル燃料の副生物として、バイオマス由来のグリーンなLPガスの合成が行われているものの、数量は極めて少量であり、人工合成については、世界的に基礎研究途上の状況である。

<今後の取組>

LPガスのグリーン化を図るため、化学合成やバイオマスによるLPガス合成技術を確立し、2030年の社会実装に向けた実証等に取り組む。こうしたグリーンLPガスの合成に係る技術開発・実証を今後10年で集中的に行うことで、2030年までに合成技術を確立し、商用化を実現。2050年には需要の全量をグリーンLPガスに代替することを目指す。

-バイオジェット燃料等・合成燃料(第4章-11節-④)
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