補助金活用しボイラーを切り替え
「かたかごの湯」は、25年前に高岡市の中心部に開業した温浴施設で、憩いの場として多くの市民に親しまれている。昨年9月、国の補助金を活用して、長年使って来た重油ボイラーをLPガス潜熱回収型ボイラーに切り替え、15%の省エネ効果と、CO2やNOxの削減に結びつけている。騒音も少なくなり、近隣にも優しい温浴施設に生まれ変わった。
ボイラー熱効率15%アップ
潜熱とは燃焼ガスに含まれる水分の凝縮熱のことで、それを回収して利用するボイラーの熱効率は103%。それまで使って来た真空式重油ボイラーの熱効率は88%だから、その差15%。そのメリットを割安な入浴料の維持などのお客さまサービスに役立てている。笹島専務は「CO2を削減しながら、安定して使えるメリットは大きいと考え、LPガスを選択した」と話す。CO2の削減量は年間45tになる。
潜熱回収温水器
(ヒラカワガイダム製UG500WH型)×2台
定格出力:暖房455kW、給湯485kW
伝熱面積:9.9m2
最高使用圧力:0.49MPa
燃料消費量:18.8m3
CO2削減量:45.0t‐CO2/年
バルク貯槽で安定したガス価格
温浴施設の心臓部と言える燃料ボイラーに関して豊かな知識を持つ笹島専務。もっと市民に愛される施設としていくため、重油と厨房用LPガスの取引をしている和田商会高岡支店の佐藤さんを通じて、CO2排出量が少ないだけでなく、バルク貯槽を設けることで安定した供給、しかも重油に比べ安定的な価格で提供が可能になるというLPガスのメリットを知り、LPガスボイラーへの切り替えを決めた。
LPガスバルク貯槽(980kg)
年次点検、安全弁交換も不要に
ボイラーの選択に当たっては、設備工事業者から潜熱回収型を推奨された。重油タンクを地下に設けていたが、LPガスバルク貯槽(容量980kg)の採用によって、重油タンクで必須の年次点検も不要になったメリットも大きいという。
屋号の「かたかご」は万葉歌人、大伴家持(718~785年)が越中守(746~751年)時代に詠んだ次の和歌が由来となっている。越中国府は今の高岡市伏木に置かれていた。伏木は「かたかごの湯」を経営する有限会社笹島商事の本社所在地。
もののふの 八十娘子らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花(『万葉集』巻第19‐4143番)
堅香子は、水辺に群生する薄紫色のカタクリの花。寺の境内にある井戸の水を入り乱れて汲んでいる乙女らと、堅香子の健気さとの対比は見事だが、笹島専務らスタッフが、ふるさとの万葉歌を慕い、伝承していこうとする熱意も伝わって来る。
会社の概要
かたかごの湯
富山県高岡市野村1353-1(経営=有限会社笹島商事:高岡市伏木錦町1-18)
昭和62年開業、平成17年全面改装、平成23年燃料転換
営業時間:午前9時~午前1時、年中無休
入浴料金:大人(中学生以上)500円、 小人(小学生以下)250円、幼児(3歳以下)100円