医療法人はるにれは北海道江別市にて平成11年より、診療所、介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、有料老人ホームを展開し、地域に寄り添ったサービスを医療・介護サービスを提供している。
介護老人保健施設はるにれは、一般棟50床と認知症専門棟50床をかまえ、ショートステイや通所リハビリテーションなどの在宅支援も提供する加算型老健施設であり、「自立した生活」を支援できるよう充実したサービスを日々提供している。
この度、同施設では災害時を想定し、電源自立型のLPガス空調(GHP)と、LPガス災害対応バルク貯槽を設置した。
導入の経緯
介護老人保健施設はるにれは、開設から20年が経過し、既存の電気空調(EHP)の老朽化があった。
梶田財務室長は、導入に至るまでの決断を以下のように語る。
「この度の空調設備の更新を考えたとき、災害対応を求められる時代になっていることから、お世話になっている設備会社よりLPガス設備導入の提案を受けました。もともとLPガスは厨房と衣類乾燥などに使用しており、『LPガスは災害に強い』とは聞いてはいたものの、道路の通行が困難になった場合など本当に災害時に供給してもらえるのかと少し不安がありました。しかし、設備会社よりLPガス災害バルクであれば、3日間分のLPガス燃料を備蓄でき、また空調を電源自立型GHPにすると、電気の供給が途絶えても稼働ができると聞きました。それならば、万が一のときでも利用者様の安全を守れると思い、導入を決意しました。さらに国の補助金が活用できることも、決断の後押しになりました。」
LPガスバルク貯槽設備
電源自立型GHP(左)
節電に貢献
GHP導入は令和3年11月。設置にあたり、GHPが効く範囲を、一般棟がある3階と、認知症棟2階の食堂、職員の詰所、廊下を含む共有部と決めた。また室内機を浴室の前に設置するなど、冷暖房が行き届きにくい場所への設置を工夫した。
感染症対策による定期的な換気が必要な共有部にて、スポット的にGHPによる冷暖房を入れることが可能となり、職員は使い勝手のよさを実感しているという。
コスト面については、初期費用約1,600万円のうち、補助金約720万円を活用することができた。導入して約2年、電気使用量は年間で15,000kWhの削減につながっている。
梶田財務室長は取材の際に次のように語った。
「近年のエネルギー価格の高騰により、このタイミングでLPガス燃料に転換できてよかったと感じています。冬は機器の除雪も大変ですが、いざというときにしっかり稼働できるよう、設備の保守・維持管理に努め、訓練を行っていきたいと思います。
事業としては災害対応や感染症対策、在宅支援の充実などが求められる介護報酬改定に対応しながら時代の要請に沿った介護を提供し、また地域の特性に合わせて、利用者様のニーズに応えていきます。」
(令和6年1月取材)