ジークライト株式会社は、山形県米沢市の板谷にてゼオライトの世界基準になっている「イタヤ・ゼオライト」を昭和14年6月より採掘し、ゼオライト商品の製造・販売を行なっている。ゼオライトとは天然に産する鉱物で、重金属・アンモニアの吸着、吸水・吸湿等に優れている特性から、土壌改良用や畜産用飼料、住宅用、食品の鮮度保持、化粧品等にと、幅広く活用されている。この度、国の補助金を活用し、ゼオライトを乾燥させるためのロータリーキルン(回転炉)の燃料を再生油からLPガスへと燃料転換を行った。
「イタヤ・ゼオライト」
優れた陽イオン交換量を誇る
将来を見据えた設備改善を計画
ロータリーキルンは設置後40余年経過しており、設備の全面更新を計画していた矢先に、東日本大震災が発生した。
ゼオライトは、土壌改良として大きな役割を果たす為、需要が高まり不眠不休で製造にあたっていたが、設備が限界に達し更新の前倒しを決断した。
導入エネルギーの検討
これまでの、ロータリーキルンは、再生油に含まれる不純物がゼオライトに吸着してしまう為、間接乾燥方式をとっていた。加えて、再生油は性状が不安定で、製造工程管理が煩雑になるといったコスト増加要因があった。
一方で、社長の加原氏は山形県地球温暖化防止アクションプログラムに手をあげており環境対応は必須であったこともあり、再生油によるばい煙影響の環境問題もクリアしなければならなかった。
また震災時において、再生油の確保に非常に苦労した問題点も解決するべく、2011年、他エネルギー利用の検討を開始した。
三位一体によるLPガス導入へ
LPガスは、不純物が少なく直接乾燥方式が採用でき、かつ、エネルギー品質が一定で、製造工程管理が簡素化され、製造コストが削減可能との見通しが立った。また再生油に比べCO2排出量が少ないので環境問題もクリアでき、経営理念と一致した。さらに震災時でも安定供給がなされ、非常時でも確保できるエネルギーはLPガスではないかとの結論に至った。
正野部長は「LNGも検討したが、取引契約等の制限事項が多く検討の俎上(そじょう)までに至らなかった」と話す。
LPガス元売であるアストモスエネルギー(株)に相談を行い、機器メーカー・設備メーカーを含めて検討した結果、ロータリーキルンは直接乾燥方式のナイガイ製NBGB-N-250を導入した。供給設備は、国の補助金を活用するとともに、9.9tバルク貯槽タンクを新設した。
LPガスの残量管理は、地元ガス会社である山形酸素㈱が取り組んでおり、供給から在庫管理、併せて保安教育も行なっている。またLPガス設備の法定基準等のアドバイスをもらい、特定高圧ガス取扱主任者を選任した。
製造担当の田中部長は「初めて扱うLPガスに不安を抱いていたが、従業員対象に講習会を開催して頂き不安を払拭できた」と当時の様子を振り返る。
ナイガイ製 ロータリーキルン
(NBGB-N-250)
(定格出力:3t/h)
LPガス導入メリットは想像以上
2012年11月から稼動開始し1年経過しているが、導入メリットは想像以上だったいう。汚染負荷量賦課金も削減され、工場稼動時間の短縮、人員削減のうえ、生産効率が前年比170%となり、コスト面でも当初の予想より10倍以上のメリットがでている。
正野部長は「この効果は、設計段階からガス元売りさんに協力して頂いた成果だと思う。LPガスの燃料転換は成功だったと確信している」と話す。
正野 晶久 執行役員 鉱山事業部長
LPガスと共に
今回の燃料転換をきっかけとして、社屋にはGHPを導入。今後は残りの乾燥炉もLPガスへの燃料転換を検討したいと考えている。
ジークライトでは現在、被災地の土壌改良の他に、採掘跡地を活用し、震災の"がれき"受入といった環境面での東北復興に積極的に取り組んでいる。
「環境をテーマに経営理念をつくった。ゼオライトは、環境方面に多岐に有効利用されており、今後も環境を考えた経営をしたい」と加原社長はしめくくった。
加原 友夫 代表取締役社長
会社の概要
ジークライト株式会社
代表取締役社長:加原 友夫
所在地:本社・工場/山形県米沢市大字板谷315番地
創立:昭和11年4月1日
資本金:3000万円
事業内容:ゼオライトの採掘・製造・加工・販売 産業廃棄物・一般廃棄物及び汚染土壌の最終処分 上記事業のコンサルティング他