有限会社 浅野保温は1966年に創業し、建設業における熱絶縁工事事業を50年以上営んでいる企業。配管やダクトの保温・保冷工事や必要に応じた板金施工、また蒸気用のジャケット等も制作している。他社に比べ内製率が高いことから迅速な対応が可能で、東海三県を中心に、関東・関西まで広い範囲で施工を行っている。2018年度の売上高は2億円、従業員数18名(パート含む)。
LPG車導入の経緯
3代目である浅野朋幸社長がまだ会社勤めをしていた時、勤務先でCNG車※1やLPG車※2を使用している人がいて、自分では乗っていなかったがガス自動車を知っていた。浅野保温の社長に就任後、異業種交流会でかねてより面識のあったLPG車改造事業者でもある有限会社位田モータースの位田社長に、社用車のプリウスをLPGバイフューエル車に出来るか聞いたところ可能との回答をもらい、LPG車第1号の導入に至った。現在は15台の社用車中3台がLPG車、今年度はあと1~2台をLPG車に切り替える予定だ。
LPG車のメリットとしては燃料費の削減と航続距離の延長が挙げられる。1台あたりの走行距離は2~3万km/年になり、関西や関東に施工に行く際にも給油することなく移動が可能で、燃料費も1台あたり10~20万円/年削減された。
2018年6月に社屋を移転してから、当初より導入を考えていた簡易型LPガススタンド※3「オートコンポ」(カグラベーパーテック株式会社製)を設置した。(従前の社屋では保安距離の関係から設置出来なかった)
オートコンポは第二種製造設備のため設置届け出だけで、有資格者の常駐は不要等扱いが容易で、これまでは近くのLPガススタンドまで充填に行く必要があったが、自社内でLPガスを充填でき、業務効率が上がる等の利点があるためだ。
LPGバイフューエル車
オートコンポ
BCPの必要性と地域への貢献
設備導入にあたっては、「災害バルク補助金」※4とともに中小企業庁の「経営力向上計画」認定で得られる法人税優遇措置を活用した。この「災害バルク補助金」では、災害バルクと同時にLPガス非常用発電機と岩谷産業株式会社の非常用炊き出しセット「デリバリーステーション」を導入した。これがBCPや地域防災を考えていくきっかけとなった。
2018年の台風の際、局所的な停電で半日近く業務が停止し、顧客への対応に遅れてBCP対策の必要性を強く感じていた。また、災害対応機器を入れることにより各種メディアにも取り上げられ、町内で業務をあまり行なっていない会社にとっては良いPRにもなった。扶桑町で育ち会社も営んでいる地域貢献を模索していた浅野社長は、その一つとして災害時に近隣住民を少しでも受け入られたらと考え、扶桑町と協議を重ね町では民間企業初の指定避難所として認知を受けた。
浅野社長は言う。
「保温工事に関して言えば、例えば公共建築では仕様が決まっていて勝手に変えられないなど他社との差別が難しい。遠方まで出向くとかスピード感を上げるなどが必要。しかしLPガスを使ってBCPや地域防災に取り組むことで、近隣住民の評価が上がり、メディアにも掲載され企業価値が向上した。企業価値の向上が社員満足、人材確保にも繋がる。」
今後はLPガスのGHPの導入など、浅野保温は更なる地域貢献を目指す。
浅野朋幸社長