神奈川県県央西部に位置する秦野市に本部を置く「湘南とびうお体操クラブ」(武田晴信代表)は、すべてのスポーツの基本となる体操を広めようと平成7年に発足した。秦野市を中心に会員数を伸ばし、未就園児から中高生までの会員数は現在約850人と、民間クラブでは全国最大規模の体操クラブである。
平成18年に初の新設施設となる「第1体育館」を建設し、空調にはGHP(計30馬力)を採用した。設計事務所や施設オーナーからは電気式のEHPを勧められたが、以前使っていた機器が頻繁に霜取りで停止したことに懲りていたこともあり、周囲を説得してGHPの導入を決めた。
しかし、平成23年3月の東日本大震災が、新たな課題をもたらした。建物内の設備も含めて直接的な被害はなかったものの、その後始まった計画停電は夕方以降に実施され、開講が夕方以降の同クラブにとって大きな不安要素となった。「いつ停電になるか分からない状態が何週間も続いた」と武田晴信さんは当時を振り返る。
ようやく探し当てたガソリン発電機による照明は薄暗く、震災直後はガソリンの流通も不安定だったため調達にも苦労した。これを教訓に武田さんは「次に建てるときは必ず発電設備を常備したい」との思いを強くしたという。
その後も順調に練習生が増加し、2棟目の体育館を作ることになった。武田さんが自ら調べ、GHPの停電対応機が商品化されたことを探し当てた。このGHPは発電機能を備え、停電時でも発電した電力でGHPを運転することができる。また、電力は照明やテレビ、通信機器などに接続して使うことができ、停電時にも安心な機能を備えている。
「もう計画停電の時のような思いはしたくない」と、「第2体育館」には、アイシン精機製GHPエグゼアの電源自立型「GHPハイパワープラス」を採用し、停電時も練習に差し支えない空調と照明を整備した。自立運転機能が付加された分高額になるが、「長く使えて良い物をとの判断からアイシン製を選んだ」という。
GHP室外機20馬力1台と天井吊形14kW室内機を4台設置し、体育館内に常時・非常時の自立切替盤(分電盤)を設けた。
停電時に自立運転をした場合には、GHPによる冷暖房と館内のLED蛍光灯の約半分(840W)、それに停電時専用コンセントが使用できる。館内には、練習中のアイシングに使う氷を確保するための製氷機を設置しているが、この電源も絶やすことができないため、コンセントの利用を要望した。
平成25年5月、第2体育館がオープンした。
初めての冷房シーズンも順調に稼働し、盛夏8月のLPガス消費量は約360m3に達した。
第2体育館は床面積380m2、床やマットの上で跳躍や回転を行う「タンプリング」用のトランポリンを中心に、鉄棒や跳び箱、平均台など充実した練習環境を整えた。
安心して練習できる環境が整ったことで武田さんの指導にも熱が入る。「約850人に上る練習生から、7年後の東京オリンピック出場選手を輩出したい」と意欲を語った。また、競技レベルの向上に意欲を示す一方、震災後の苦労から「非常時は地域の避難所として開放したい」とも話している。
※「プロパン・ブタンニュース」(平成26年1月1日付)掲載記事を再編集した。
施設の概要
■湘南とびうお体操クラブ
代表者:武田晴信
所在地:〒257-0015 神奈川県秦野市平沢405-1
TEL:0463-80-6001
HP:http://www.tobiuo.jp
会員数:約850名
対象年齢:2才〜中学生、高校生(主に幼稚園児〜小学生)
事業内容:子供向け体操教室、体操競技の選手育成、関連イベントの開催