大阪府泉佐野市は大阪府の泉南地域に位置する市であり、瀬戸内海式気候に属した温暖な気候と、和泉山脈を擁した美しい山河、緑あふれる自然環境を有した市である。関西国際空港の玄関都市として、海外の友好提携都市(9都市)と友好関係都市(1都市)があるなど都市交流などの取り組みが盛んである。
この度、同市では、近年の猛暑による児童生徒の熱中症対策と、台風や地震等の災害時における避難所内の暑さ対策等の環境整備のため、3カ年で市内の全小中学校にLPガスGHPを導入した。
泉佐野市 市長 千代松氏は導入のきっかけを次のように語る。
「当市では市内の小中学校すべての体育館が災害時の避難所として指定しています。平成30年9月の台風21号で、大きな暴風雨により電柱が倒れ、長引く停電が生じ、市民生活に大きな支障をもたらしました。その台風21号による被災後、1ヶ月も経たないうちに同じ規模の台風24号がやってくるとなったときに、約800人もの市民が体育館に避難されました。その時期は、まだ暑さ厳しい環境の中で、高齢者の方も多く避難されたことから、体育館の空調整備の必要性を強く感じました。」
空調の熱源にはLPガスを選択した。選定の大きな決め手は、自然災害により停電や都市ガスの供給停止が発生した場合であっても、LPガスは施設内に備蓄していること、また備蓄している燃料を使いきった場合にも、泉佐野市内にも複数のLPガス事業者が存在しているため、追加供給を受けることもできる点だった。
市内に18校ある小中学校の体育館(及び中学校5校の武道場)を、令和元年度から3年度にわたり、毎年6校ずつ、土砂災害や河川の氾濫などによる避難所の開設の可能性が高い小中学校より優先して整備を進めた。
現在、LPガスGHPは通常授業やクラブ活動のほか、卒業式などの学校行事でも稼働している。また、学校開放事業により地域の団体も屋内運動場を利用されており、空調機の設置により快適な環境で活動でき、学校をはじめ地域の方からの反応もよいとのこと。
同市では、今後も地域防災対策について市民のいのち、財産を災害から保護するため、過去の教訓を生かし防災に関する様々な施策を総合的かつ計画的に進め、強靱なまちづくりを進める方針である。
千代松市長は取材の際に次のように語った。
「近代資本主義の父である渋沢栄一は、“できるだけ多くの人に、できるだけ多くの幸福を与えるように行動する。それが我々の義務である。”と語りました。令和4年度の施政に関する基本方針の中でもこれを引用しましたが、当市の目指すまちづくりの根幹を示しています。市民のみなさんの命を守り、暮らしを支えるため、この言葉を胸に一生懸命施策に取り組んでまいります。」