東大和市は東京都の中央部の北側、立川市の隣に位置し市の面積は約13.42km2で公園や緑地、多摩湖の面積(みどり率)が約46%を占めており、自然にふれる機会が多い街である。
東大和市では「日本一子育てしやすいまちづくり」のため、子ども・子育て支援施策を推進している。東京都区市部で唯一、3年平均出生率が1.5を超えている。
近年、学校設備においては空調設置の整備が進められており、全国的にみても普通教室の空調は9割を超えている。しかし、災害発生時において避難所としても有効活用が期待される体育館の多くは空調が未整備となっている。
この度、東大和市では、全小中学校体育館に空調設備を導入した。そのうち、中学校5校には、LPガス仕様GHPとLPガス非常用発電機を導入した。
東大和市第一中学校 体育館
東大和市 都市建設部 建築課長 兼 学校教育部副参事 中橋氏によると、東大和市では熱中症の事故を防ぐため、平成23年度より市内の小学校10校、中学校5校のすべての普通教室と特別教室には空調を整備していた。
この度の体育館空調整備の目的も「熱中症の事故対策」であるが、その際に「避難所としての体育館」を強く意識したとのことである。
市の防災担当・設計技術者と体育館の空調を検討していく中で、まずは電気を停電時のリスクとコスト比較により検討から除外したという。
「災害時を想定したとき、都市ガスの配管は耐震化されており、LPガスは備蓄があるので復旧が早いと思われた。」そのため、双方を導入することでリスク分散を行った。
市立中学校にLPガス仕様のGHPを採用した理由は、「中学校体育館は規模が大きく、市内に分散しており、避難所としての機能が高い。そのため災害に強いLPガスが適当であると判断した。」ということだ。
停電時でも空調を運転できるようLPガスGHPとLPガス発電機を設置している。
体育館への空調設備導入は、「東京都公立学校屋内体育施設空調設置支援事業」を利用した。
体育館への空調設備導入は初めてだったため、東京都府中市の事例(府中市立11中学校体育館にLPガス仕様GHP導入)を参考にした。体育館施設の屋上部分近くを空調する必要がないため、空調効率を高めるため、送風機の設置は工夫したという。
供給されているLPガス
今回の導入に対し、中橋氏は、「東大和市立中学校へのLPガス仕様GHP、LPガス発電機の設置、導入は災害時を想定した環境整備を行うことができ、市民の目線から見て安心安全につながったと感じている。」と述べた。