埼玉県こども動物自然公園は、埼玉県東松山市の46ヘクタールの敷地において、動物約200種、1600点以上が飼育されている埼玉県内最大の動物園である。
2014年3月、「コアラ舎」の改修において、ガス式(GHP)と電気式(EHP)の良さを合わせたハイブリット空調システムとガス式床暖房設備導入した。
埼玉県では、「埼玉エコタウンプロジェクト」の一環として、東松山市のこども動物自然公園で省エネ・創エネに取り組む「ECO−Zoo整備事業」を進めており、化石燃料使用量の削減を目指している。この度、築後27年が経ち、電気・機械設備の老朽化が進む「コアラ舎」の改修を行うこととなった。
コアラは元々温度、乾燥、匂いに非常に敏感で繊細な生き物である。しかし既存の設備は老朽化により効率が低下しており、夏暑く冬寒いという劣悪な環境であった。冬場には、パネルヒーターや石油式ファンヒーターも併用していたが、石油の臭いや動物園全体の約17%を占める電力コストが問題となっていた。
そのような折、岩谷産業(株)よりコアラの隔離室に、電気式(EHP)とガス式(GHP)の良さを合わせたダイキン工業叶サハイブリッド個別空調とパーパス(株)製ガス温水式床暖房の提案をうけ、エネルギーのベストミックスが決め手となり導入することを決定した。
「ハイブリット空調システム」の導入により、EHPは① イニシャルコストが比較的安く、②工事・メンテナンスをしやすいという利点があり、GHPを併用することで①夏・冬の消費電力削減(節電)②快適性(パワフル&即効性)③LPガスの特性である災害対応力などが向上した。また、今回全国動物園で初めての導入事例となった「Ve-upコントローラー」により、EHPとGHPをタッチパネル1台で一括制御することができ、より簡単・快適な節電が可能となった。
これまで使用していた電気式床暖房は老朽化しており、部屋全体を暖めることは困難であった。しかし今回、ガス温水式床暖房を導入し、湿度を保ちつつ輻射熱で部屋全体を効率良く暖めることが可能となり、コアラにも飼育員にとっても、快適でありがなら無理のない節電を行うことに成功した。
他にも、この取り組みと合わせ太陽光パネルの設置、屋根・壁・窓ガラスの断熱改修、照明のLED化が行われ、「コアラ舎全体」で年間約70%の電力使用量削減が見込まれている。
こども動物自然公園では、動物園ならではの特性を生かし、楽しくエコも学べるよう工夫を施している。今回も導入に合せて、「コアラ舎エコ化リニューアル記念イベント」を開催し、来園者にパネル展示やチラシ配布を行った。
神山幸雄公園園長は「当園は今年5月で開園34年を迎え、昨年は約71万人が来場した。今回のリニューアルで職員、コアラともに大変過ごしやすい環境になった。コアラは大変希少な動物で、全国動物園87園のうち、8園46頭しか飼育されておらず、そのうち6頭が当園で飼育している。これからも動物が幸せに暮らせ、多くの人に楽しんでもらえるように努力していく」と話す。
■設置設備
コアラ隔離室 | 空調 | GHP 8馬力×1台 EHP 8馬力×1台 ※ハイブリッド空調システム |
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床暖房 | ガス温水床暖房 4.2kW×4台 | |
コアラ展示室 | 空調 | EHP 8馬力×1台 |
ユーカリ室 | 空調 | 中低温エアコン天井吊形 2馬力×2台 |
ガス供給設備 | 62(59) | LPガスバルク 1トン ×1台 |
施設の概要
■公益財団法人埼玉県公園緑地協会 埼玉県こども動物自然公園
埼玉県東松山市岩殿554
URL:http://www.parks.or.jp/sczoo/
開園時間:9:30〜17:00(入園は16:00まで)
※11/15〜2/10は9:30〜16:30(入園は15:30まで)
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開園)、年末年始(12/29〜1/1)
1月は月・火曜日開園の時もあり